COLUMN

虹始見

草原に虹がかかる風景
光についてのお話の第1回目は、光にまつわる季節の言葉をご紹介します。
気温も上がり、暑さを感じる日も増えて太陽の光を意識する機会が増えた方も多いのではないでしょうか。「虹始見(にじはじめてあらわる)」は、七十二候のひとつで、日の光が強まってきて雨上がりに虹が見え始める頃を表す言葉です。2025年は4月15日~19日頃、二十四節気の清明の末に当たります。雪国では、雪から雨に変わり、雪では見ることのできない虹が、文字通り見え始める頃とされています。

なぜ虹は雨上がりに見えるのでしょうか。
虹が見えるとき、空気中には小さな水滴が浮かんでいる状態です。太陽の光が空気中の水滴の中を通ることで現れます

光が、ある物質から別の物質の中を進むときに、その境界で光の進む方向が変化して進路が折れ曲がる「屈折」という現象が生じます。そのため、虹は空気中から水滴に入る時と水滴から空気中に出る時の2度屈折が起こります。
また、光には波のような性質があり、その波が一回上下する長さを波長と言います。太陽光は無色または白っぽく見えていますが、波長の異なるいろいろな色の光が交じり合ってできています。波長の違いで屈折する角度も変わるため、光は色ごとにずれた方向に分かれて進みます。
水滴に分かれて入った光は、水滴の内側に反射し、水滴を出る際に屈折して出てきます。この光が虹となって私たちの目に入ってくるため、虹は太陽を背にして立った方角にしか見えません。

4月は、はじまりの月のイメージも強く、新しいことを始める方も多いと思います。虹は古来よりこれからの明るい未来への架け橋とされてきていますので、たまには空を見上げて明るい未来を想像してみてはいかがでしょうか。