20 年くらい前に派遣会社の紹介で入社してからロットプレスの仕事を担当しています。当時は30 歳代前半くらいで、手先は起用じゃないし、ガラスは前職の建築関係の仕事で窓のサッシをはめていたくらいだったので仕事は入社後にイチから覚えました。覚えるのは大変でしたが、周囲の人たちが助けてくれたので何とかなった感じです。
入社当時は、6人の班が2班あって昼と夜に分かれて作業していました。私が所属していた班は比較的年齢が若い人が多くて生産数を競いながら仕事をしていました。
同時期に検査課から異動になった20歳くらいの女性がいて、品質に対する知識があるから覚えも早くて、女性に負けたくなくて必死に仕事を覚えました。彼女がいたから早く仕事を覚えることができたのだと思います。
夏の作業の暑さは昔から変わらないですね。スポットクーラーを使っているが、夏の作業場は 40~50℃になるため、暑さが一番つらいです。火に近い作業でずっと動いているから冬でもスポットクーラーをつけていないと暑いくらい。
プレスしたガラスをはさみで切るときに軍手を二重にしていても熱いから、慣れない入社当初は手に水ぶくれがたくさんできて痛かったですよ。
また、最近はレンズのサイズが小さくなってきて打つことが大変です。使っているロット棒が太いから小さなレンズは難しい。大きいレンズなら30~40分で終わる作業に2時間くらいかかってしまいます。作るサイズに合ったロット棒があればよいが、ロット棒を作る業者が減ってきていて、四角い形状の棒を作る業者はあるけれど、丸い形状を作る業者がいないんです。棒を回転させないと溶けたガラスが垂れるので四角いと使えない。だから、太い棒を振って伸ばして先を小さくして何とか打っています。
品質基準が厳しくなって、当然のことですが良品率を上げることが求められています。
良品が取れていない機種は良品をとるために試行錯誤しますが、良品が取れている機種は継続して取り続けなければなりません。
同じタイミング、同じ量で打ち続けることで、同じものが出来上がる。タイミングと量が毎回変われば、同じものは絶対にできない。だから、ロボットになったつもりで同じタイミング、同じ量が続くよう集中して打ち続けます。
でも、夏と冬などの季節によっても出来上がりが少しずつ変わります。気温とか湿度とか理由は分からないが、違ってくる。何が違うのか、どう調整すればよいのかはっきりと言葉では説明できないが、肌で感じた感覚で体が勝手に動いて調整しているときがあります。これはロボットではできないから人の感覚と経験が重要なところだと思っています。もちろん解決できないことも多く出てきますから、そのときは打つ条件を皆が一緒に考えてくれるので大変ありがたいです。
私はプレスの数は誰にも負けないと思っている。打つ機種によっていくつ取れるのか打つ前からだいたい分かります。だから、限られた時間で良品を打つ数には自信があります。自分が打ったものは全部子供のようなものなので、不良はいないと思っているんですよ。
ガラスは前にうまくいったときと同じ条件で打ってもうまくいかないことがあるので、皆が良い子になるようにしっかりと打っていかないといけない。これは機械を使っても同じです。だから、ガラスには最後は人の目と人の手が必要だと思っています。