ガラスを使った製品には食器やビンなどの生活に密着したものや、カメラなどに使われる光学レンズなど様々な種類や用途がございます。使われる用途によって、ガラスを作る材料は異なりますが、どのようなガラス製品であっても共通して欠かせない設備のひとつが「炉」です。
ガラス製造を手掛ける企業にとっては、なくてはならい縁の下の力持ちのような存在。今回は、ガラス炉築造の国内シェア60%を誇るIHARA FURNACE株式会社の井原社長様に色々な角度から「ろ(炉)」について語っていただきました。
1892年(明治25年)に井原組として創業し56年、井原築炉建設(株)で19年、井原築炉工業(株)として57年と132年間、国内外の「ろ」にかかわり続けています。板ガラス、容器硝子、特殊ガラス、光学ガラスなどいろいろなガラス炉の築造を主体とした創業当時の築炉専門メーカーから、時代の流れに合わせて幅広い分野に挑戦し、変化を遂げてまいりました。
2014年には集塵機の製造販売を手掛けるナフコ社を子会社化することで、排ガス処理プラント事業においても独自対応が可能となり、海外向け案件に設計・設備工事を含む「総合プラント工事」一式での受注にも対応いたしております。
現在は「炉の総合プラントエンジニアリング企業を目指す」会社として、築炉のみならず、エンジニアリング企業へと確固たる地位を築き上げるべく変貌を遂げている最中です。
会社の誇りであり「宝・人財」である従業員に対する想いが大きいです。130年以上にわたる当社の歴史、培ってきた技術、企業の成長を誇りに想い、受け継がれてきた歴史のバトンが続くように未来のIHARAメンバーに託さなければなりません。そのため、会社の根幹となる社是を常に意識しています。
また私自身が直接お客さまと接し、お声を聴くことで、お客様との絆を深めることが、会社の持続的な発展につながると信じています。
連続溶解ができるタンク窯においては数トンから数百トンの溶解炉を設計。優れた熱交換システムを搭載した省エネルギータイプのガラス溶解設備となっています。省エネ設備として、耐火物構造の熱交換設備、イニシャルコストが低価な金属製熱交換器、原料のひとつであるカレットの予熱装置(カレットプレヒーター)なども有しています。
少ロットの容器、工芸ガラスやびんを製造する独自開発の高効率坩堝窯もあります。また電気溶融と組み合わせたハイブリッド炉ではCO2排出削減に寄与しています。環境装置につきましては、排ガス処理設備の設計製作施工が可能で、ガラス工場のみならず、その他の工業炉や環境施設向けにも貢献し、加えて産業廃棄物処理プラントなどエンジニアリング会社としても幅を拡げています。
ガラス炉の築造は鉄鋼や非鉄金属の築造とは異なり、耐火煉瓦を構築する際に目地材を使用しない場合や数ミリしか使わない構造となっているため特殊技能が必要となります。弊社の築炉技能士は、永年伝承されてきた技術を用いてガラス炉を築造しています。築造では重量物も扱いますので非常に調整が難しく、昨今は優れた道工具も用いますが、最終的な煉瓦設置には匠の技が必要となります。
ガラスも多様化が進んでいること、第三国の需要が高まることが期待されていることから世界的には伸張する市場だと言えます。ただ日本国内においては、先進産業、自動車、建設の需要に左右されます。医療、容器業界ではガラス以外の素材需要が伸びていてガラス産業には厳しい状況となっています。このような国内状況ではありますが、ガラスは3R(Reduce発生抑制、Reuse再使用、Recycle再資源化)の観点でも環境にやさしい素材であり、色々な用途開発での伸張を期待したいところです。
弊社は永年の歴史のなかで会社の礎を築いて参りました。その技術、技能の伝承を怠ることなく、これからも歩み続けます。「技術に終着駅なし」の言葉に忠実に弊社のありたい姿「炉の総合プラントエンジニアリング企業」に向け、IHARAオリジナルの技術開発に取り組み、業容拡大をあきらめることなく挑戦していくなかでガラス産業の発展にも寄与したいと思います。
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